【不動産業界の未来③】仲介サービスが進むべき先とは?
前回、賃貸と売買の同時提案というのはなかなかなく、その理由が業界構造が縦割りであるということをお話してきました。
今後どういうふうに仲介のサービスが向かっていくべきなのかということについて、私の持論にはなりますが、解説させていただければと思います。
まず、日米の比較を致します。
アメリカというのは不動産の取引に関しても非常に先進的でございます。
MLSというサービスがありまして、不動産の情報が公開されております。
それに対して日本の場合は、レインズいうサイトがあり、これは未公開になります。
SUUMOやホームズなどと何が違うのかということなのですが、レインズには「元付」という、売主や貸主。業者が直接掲載しているものになります。
SUUMOやホームズは、仲介会社がそこから情報を取り出して掲載しているものになります。
次に、営業マンについてですが、日本の場合は基本的に社員になります。
アメリカの場合は、フリーランスなんですね。
アメリカの営業マンのイメージは非常に良く、職種として非常に人気です。
リアルターと言われ、横並びで言うと会計士さんとか弁護士さんなどと同等ぐらいの職業になります。
補足にはなりますが、日本の場合は両手取引が可能で、アメリカの場合は不可となっています。
私はどちらかというと、両手取引は禁止にした方がいい派なのですが、売りたい方と買いたい方で利益が相反しており、両方の代理が可能になります。
これは弁護士さんが原告と被告を両方を代理しているようなものになるので、あまりよくないのではないかという風には感じております。
アメリカは物件が公開されておりますので、物件は自分で探して、仲介のエージェントを探す形になります。
エージェントにはレビューが付いておりまして、そのレビューを見ながら「この人は仲介手数料が安くてレビューが良い」ですとか、そういったのを見ながら選ぶことができます。
それによって何が起きるかというと、競争原理が働きますので各営業マンはフリーランスですから、自分の腕を磨いて、レビューを良くします。
Uber eatsのような形ですね。
それに対して日本は、情報の非対称性と言いまして、未公開のレインズの物件の中で、これは問い合わせがきそうな物件というものを探していきますので、自分自身のスキルをあげるという事ではなく、問い合わせが来そうな物件を探すというところのスキルの違いがございます。
本来仲介とはこうあるべきだという話になるのですが、ヒアリングをする能力は非常に大事かなと思ってまして、お客様が何を探して、何を求めているかっていうところが大事なポイントです。
お客様が求めているものは、実は物件ではなくて「生活」なんですね。
生活をする上で、どういう部分が改善されるべきなのか。
このヒアリング能力がベースになってくるかと思います。
その上に、物件の知識やエリアの知識が乗っかってきて、更にアップグレードしていくと、税金などの知識がついてくる。
ベースとなるスキルセットが出来ていればの話にはなるのですが、売買と賃貸のスキルを身につけて両方行えば、両方の提案ができるようになるのです。
ところが今は分断されていまして、売買スキルのみ。賃貸スキルのみ。という形になっております。
なので、実際業者さんが自分自身に備えているスキルというのは賃貸の場合、審査・法令(重説)・物件を探すということ。
売買の場合は、住宅ローンと法令(重説)ですね。
審査と住宅ローンは全く違うものですから、知識が分断されています。
ところが、間にヒアリング能力から税金などの予備知識まで含められるスキルがありますと、両方が出来ます。
仲介の実際は、
ヒアリング・提案・契約の締結。この順番でやるのが本来なのですが、契約の締結しか行っていないケースが非常に多いのかなと思います。
実際、契約の締結しか行っていない場合ですとか、それしか行っていないと思っているユーザーさんも非常に多いため、仲介手数料の値引き合戦というものが起こっているのだと思います。
本来は自分自身のスキルを高めていって、「この人だったら仲介手数料を○○円払ってもいいよ」という風に思われるべきなのですが、実際問題は、「これしかやってないんだから仲介手数料はこれでよくない?」と思われてしまっているのが現実です。
今後これをどう改善していくべきなのかという私の持論になるのですが、仲介手数料に関しては、自由化するべきなのかなと思っております。
新卒の方と社長とかあとは20年くらいやっていて、業歴の長い方の仲介手数料が同一なことに関しては、非常に違和感を感じております。
あとはレインズ物件を探すというところに関して、今未公開の状態ですので、それをアメリカのように公開するということで、物件の勝負ではなく、営業のスキルアップというところに結びつくのではないかなと思っております。
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